2・電車の動かし方[1] 電車の基本操作

 

ひとくちに「電車」といっても・・・
 さて、私たちはこれから電車の運転を仮想体験するわけですが、この普段から何気に使っている「電車」がどんなものかご存知ですか?運転の基礎を学ぶ前に、まず電車とは何か、どうして走るのか、そしてどうして便利なのかを考えていくことにしましょう。

 国語辞書で「電車」を引くと、「電気動力によって、人や荷物を載せて軌道上を自走する車両」(大辞林)とあります。ただ私たちが普段接している「電車」の中には、ローカル線を走っているディーゼルカーのように、電気を動力としないものも含めて、「電車」と呼んでいることが多いようです。ここでは、「電車」はひろくレールの上を走る人を乗せるための乗り物と定義し、特別に注記しない限りディーゼルカーや客車なども含めた鉄道車両の一般的な通称として用いることとします。
電車はどうして走るのか
 電車には、先ほども述べたとおり電気で動く「電車」、自動車と同様にエンジンを使い走る「気動車」、自らは動力を持たず、機関車など他の車両に引っ張られて走る「客車」に大別することが出来ると思います。機関車にも、電気で動くもの、エンジンを搭載しているもの、そしてわずかではありますが、昔は主力だった蒸気機関でエネルギーをつくり走るもの―SLがあります。ここでは、「THE 山手線」で走らせることのできる「205系電車」を前提に、電車の動く仕組みを簡単に解説しましょう。

 電車を動かすためには、当然そのエネルギーをどこからか補給しなくてはなりません。自動車の場合は、ガソリンをタンクに積んで走りますが、電車の場合は、車両自らにはエネルギーを貯蓄するための仕組みを持っていません。そのため、常に必要な電気の供給を受けながら走ることになります。それが、電車の線路の上方に架かっている電線「架線」であり、その架線から電車に電気を取り入れるものが「パンタグラフ」という菱形や「く」の字型の装置です。子どもたちの電車の絵に必ずひとつふたつ(時にはたくさん!)描かれているアレです。

 パンタグラフを通じて取り入れられた電気は、電車の床下に設置されている制御回路に回され、運転席からの操作に従い適切な出力を得られるよう調整されたうえ車輪に取り付けられたモータに流されます。モータを流れた電流は、線路から発電所へ帰っていくことになります。発電所と電車との関係は、小学校のころに実験した電池と豆電球の関係を思い浮かべると分かりやすいかもしれません。

 また、電気は電車を走らせるために使うのではなく、電車を止めるためにも使われます。電気の力でモータを動かしていたものを、逆にモータの力で電気を起こし、電車の走っている力を奪っていくのです。起きた電気は、熱として放出されたり、再び架線に戻されて他の電車を動かす動力として使われます。
 
電車の動かし方(アクセルとブレーキ)
次に、電車を動かすためにひつような最低限のことがらについて、車の運転と比較しながら学んでいきましょう。

 車の動かすのに最低限必要な装置は、「ハンドル」「ギア」「アクセル」「ブレーキ」の4つに集約されると思います。このうちハンドルは、レールにしたがって走行する電車には必要がありませんので、電車ではそれをのぞいた「ギア」「アクセル」「ブレーキ」が必要ということになります。

 ギアは、電車では基本的にオートマチックのようなものですので操作をする必要はありません。そのため電車を前進させるのか、後退させるのかを決める「逆転器(リバーサ)」というレバーのみがついています。これも、「THE 山手線」では、駅を通り過ぎたなど特殊な事情がない限り、「前進」に入れっぱなしでOKです。

 次に、アクセルは運転台左側にある「主幹制御器(マスターコントローラ)」がその役目を果たします。この装置は「マスコン」という通称でよく呼ばれます。「THE 山手線」では0から5まで6つの刻みがつけてあります。電車の運転では、加速の場合は基本的には最高の「5」のみを使います。最初のうちは、中間の「1」から「4」を使う必要はありません。また、車の運転では加速が終わったあとも速度を保つためにアクセルを微妙に動かしますが、電車の場合は加速が終わったらマスコンを「0」にしたままで走るのが普通です。

 また、ブレーキは運転台右側の「制動装置(ブレーキハンドル)」で行います。ブレーキはレバーが一番左端にあるときが解除された状態で、そこから左回りに約90度の範囲で「1」から「8」の刻みがついています。もちろん、数字が大きいほど(ハンドルを回すほど)かかるブレーキの強さは大きくなります。下端の「8」からさらに右側にハンドルを押し込むと、緊急用の「非常」ブレーキがかかります。このブレーキ操作は、電車の運転で一番慎重な操作を要求されるところで、初心者の方には一番の難関になることと思います。実際のかけ方については、あとの段で改めて説明することとします。


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