トレインシミュレータ・プラスJR東日本中央線2特別企画

中央線の安全を支える最新式保安装置
ATS-Pちょっと解説

 

2000年10月18日に発売される「トレインシミュレータプラス・中央線」では「ATS-P」なるものが再現されます。このATS-Pは列車が追突や衝突をしないようにするためのいわば「安全装置」で、鉄道用語では「保安装置」と呼ばれます。

ATSについては、JR私鉄問わず全国に普及しており、皆さんも旅行中に電車の運転席から「ジリリリリ・・・・!」という音が聞こえてきた経験があるのではないでしょうか。この「ジリリ・・・」となるATSは、ATS-S型と呼ばれるもので、列車が停止信号に近づくと警告を発し、運転士が確認をしないと非常ブレーキがかかるというものです。

昭和30年代からこのATSの普及によって、鉄道における重大事故は格段に減少したのですが、いったん運転士さんがATS装置を確認をした後は機械のフォローがなく、停止信号手前で停止するまで一切の安全が運転士の判断にまかされることとなります(新型のATS-Sn系では絶対停止信号冒進でのみ非常制動がかかるよう改良されてはいます)。
そのため、うっかりミスなどによる停止信号の通過(冒進といいます)が起こることもありました。また、停止信号ごとにいちいち警報が鳴るため、運転士さんがうるさいとATSを止めてしまったり、警報に慣れてしまって注意を促す効果が薄れてしまうという欠点もあったのです。

そこで、新しい保安装置の開発が進められ、その中のひとつとして昭和63年から京葉線で正式採用されたのが「ATS-P」なのです。

ATS-Pは、正式には「パターン制御式速度照査機能付きATS」と呼ばれます。

ATS-Pでは、地上にある送信機(地上子)より前方の停止信号までの距離が送信されます。列車側にある受信機(車上子)は、その距離情報を元に、停止信号までに安全に停車できる走行速度を計算します。この計算したデータを、「速度パターン」といいます(図中の破線)。

列車は、常時計算した速度パターンと現在の速度(図中赤線)を比較します。もし列車がこの速度パターンを越える速度で走行すると、列車は自動的に減速します。ただし、ATS-Pの場合は従来のATS-S系のように非常ブレーキで強制停止するわけではなく、常用ブレーキを使い、しかも列車が速度パターンより低い速度となれば自動的にブレーキを解除し、即通常の状態に復旧します

このATS-Pは、ATS-Sに比べ以下のようなメリットがあります。

・運転士の確認扱いを必要としないシステムのため、人間のうっかりミスなどの影響を受けない
・非常ブレーキではなく常用ブレーキによる制動のため、乗客、および車両に負担をかけない
・安全速度に低下後は通常の状態に復旧するため、列車の復旧手続きなどの手間や列車の遅延などを回避できる。
・速度を連続的にチェックするため、安全性が高い
・デジタル信号による保安システムのため、車両に応じた速度パターン作成が可能で、高密度運転や高速運転に向いている

このように安全性が高く、また運転士に負担をかけない保安システムという利点があります。というより、運転士に負担をかけないで安全性を高めるために開発されたのがATS-Pだといったほうが正しいでしょう。また、山手線などで採用されているATCに比べ、導入費用が低いのも特徴で、現在首都圏を中心に積極的に採用されています。

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