文:キハ181系特急「いそかぜ」さん
写真:K.S(モデル:さいくんさん)
| 熊本オフが開催された翌日の8月29日、主催者のさいくんさんとK.Sさんと私の3人で北九州方面を小旅行してきました。福岡・北九州近郊区間の「乗車経路に関わらず運賃は最短距離で計算する」制度をフルに活用し、原田〜天拝山を筑豊・後藤寺・日田彦山・日豊・鹿児島線経由で乗り通してみようという企画です。当初は香椎・篠栗線を加え全ての区間で普通・快速利用を考えていましたが、直前にJR九州営業本部にメールで問合わせた所、黒崎〜博多で特急列車に乗車できる事がわかりました。K.Sさんが「ソニック」に未乗車だったので、急遽「ソニック」利用に変更する事にしました。 ところで原田〜天拝山の乗車券は200円、「ソニック」黒崎〜博多の自由席特急券が500円ですから、計700円でこの区間を旅行する事になります。200円の乗車券で特急列車に乗るのは少々気が引けるので、JR九州に問合わせた私の文章とその回答をプリントアウトし、いざとなったらいつでも取り出せるよう周到な準備の上でこの企画を敢行する事にしたという(苦笑)少々前途多難な旅行ですが、今回は筑豊路線の現状とJR九州の誇る最新型特急車両の魅力を再検証する事を主な目的と位置づけています。その珍道中(?)の模様を皆様にお伝えしようと思います。 午前7時30分、前日私の家に泊まったK.Sさんと共にJR久留米駅に行きます。久留米市にはJRと西鉄二つの久留米駅がありますが、JR駅は23万都市の玄関駅としてはかなり素朴な作りで、西鉄駅とは比べ物にならない小ささです。そのせいか人はそれほど多くなく、私たちは改札を抜け静かな駅構内に足を踏み入れました。日曜の朝だからか通勤通学客はまばらで、行楽客の姿が目立ちます。私たちは向かい側3番ホームに渡り、K.Sさんの写真撮影や乗客の様子をしばらく観察しながら、久大線でお越しになるさいくんさんの到着を待つことにしました。 |
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7時56分久大線から来る鳥栖行が到着。黄色いキハ125形2両編成の車内にさいくんさんが乗車されていました。次の列車でも十分間に合うのですが、せっかくなのでこの列車に乗車し、架線の下を走る気動車の様子をしばし楽しむことにします。 定刻8時03分に発車。車内はガラガラで至って静か、エンジンの唸る音だけが聞こえてきます。そのエンジン音も新世代気動車らしく大変静かなレベルです。列車はのんびり走って定刻8時14分鳥栖に到着。 鳥栖で朝食を取ります。名物のかしわうどん&そば290円也。丁度あっさりしたものを食べたかった私にはうってつけの食事になりました。だしの具合も丁度良くなかなか美味しい。食べている最中に下り特急「ゆふ」1号が入線してきたりして、K.Sさんはホームの上を頻繁に往復していました。 |
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小休止の後8時48分発博多行普通列車で原田に向かいます。車両は415系1500番台4両。オールロングシートですが幸い前面展望がまあまあだったので、原田までの信号や閉塞区間の様子を観察しながら過ごします。途中の基山では後続の783系特急2本に抜かれたのですが、カーブを高速で疾走する783系の姿はなかなかの迫力でした。 我が普通はそんなことお構いなしに淡々と走り、定刻9時09分に原田に到着します。「レインぼーず」の威力なのか、この列車が到着したとたん大雨が降ってきました(苦笑) さて、福岡近郊区間乗りつぶしの旅はここからスタートです。一旦改札を出て自動券売機で次の天拝山までの切符を購入します。出てきたのは見慣れた近郊区間用の小さな切符。「ホントに大丈夫かいな?」と思わせるくらいの頼りなさですが、今日はこの切符が主役、再び改札を抜けホームに入ります。 |
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原田の構内は本線の分岐駅らしくかなりの広さですが、これから乗る筑豊線の列車はキハ125形の単行で、広い構内とのギャップが一際強調された感じがします。我々はその写真を撮影したり、さいくんさんは乗りつぶしの証拠に自身と駅名標をK.Sさんに撮影してもらったりしていました。私はキハ125の横に立ち、エンジンのアイドリング音に耳を傾け「これがDMF13HZの音なんだ」と喜んでいたりして(苦笑)、思いのまま発車を待ちます。幸い雨も小降りになってきて薄日もさしてきました。 9時26分に発車。車内は所々の座席が埋まっている程度で、この区間の乗客の少なさを証明しているかの様です。が、この列車は全くその事を気にしないかのように90km/h近いスピードで快走します。路盤の状態が悪いのでかなりの揺れがありますが、それがかえってスピード感を増してくれたように思え、なかなかの迫力がありました。 |
列車はやがて筑豊本線最大の難所冷水峠にさしかかります。蒸気機関車の時代は機関士が相当苦労したという25パーミル勾配が連続する区間、今まで平坦線を走ってきたキハ125の足もさすがに鈍りますが、それでも60km/h程度のスピードで上っていきます。このスピードはかつて画期的な大出力車と謳われたキハ181系や九州の非電化区間のエースキハ185系とほぼ同数値で、新世代気動車の高性能ぶりをちょっぴり垣間見た気がします。やがてサミットの冷水トンネルに突入。トンネル内は温度が低い様子で、また霧が立ち込めていて視界が利きません。50km/h程度にスピードを落として走行します。線路が濡れているのか途中で車輪の空転する音が聞こえたりして結構スリルがありました。 トンネルを抜けると一転して25パーミルの下り勾配になり、125はエンジンブレーキを併用しながら軽快に下っていきます。このエンジンブレーキはなかなか強力で、運転士が作動ボタンを押すとブゥゥーンとエンジンが唸って速度が60km/h程度で落ち着きます。旧来の気動車が空気ブレーキで慎重に下っていた区間だけに、あらためて新世代気動車との違いを見せつけられました。 このあたりでさいくんさんが鳥栖で購入した焼麦(しゃおまい=シューマイ)を開きます。真空パックに入ったシューマイはやや小さ目ですが、鳥栖を代表する名物だそうでお土産品としても喜ばれるとか。さすがにおいしいシューマイです。外を見ると雨も上がったようで気分がますます良くなります。 |
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列車は勾配を下りきって9時54分に桂川に到着。次に乗る列車が到着するまで駅周辺を観察します。桂川駅の構内は電化工事の真っ最中で、架線が博多方面から引かれて構内各線に張り巡らされています。本屋の真向かいには筑豊本線・篠栗線電化工事の大きな立看板があったりして3人ともその様子を撮影したりします。ここでも相変わらずお二人は証拠写真を撮影するのに余念がない様子ではありましたが(苦笑)。 |
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まもなく次に乗車するキハ200系の姿が見えてきました。この日は2両編成でしたが乗車率はそれほどでもなく、乗り込んだ私たちは余裕でクロスシートの一角を確保します。 定刻10時丁度に発車。両開き分岐を抜けるとフルノッチが入りぐんぐん加速していきます。起動加速に関しては先程乗車した125と大差無い様に感じますが、50km/h程度からのいわゆる中間加速に関しては200系の方が断然鋭く、このあたりに両者の使用目的の違いが見て取れる気がしました。 桂川から先はまだまだ電化工事が進展していない様子でしたが、線路の方は相当手を入れてありほとんどの区間でPC枕木が投入され、まるで一級幹線の雰囲気です。特に複線区間の飯塚〜新飯塚では北海道の函館・室蘭本線函館〜東室蘭間を見ている気がして内心おかしくなってしまいました(苦笑) |
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キハ200系の走りにあらためて感心しながら10時09分新飯塚到着。ここでも証拠写真などを撮影したりして、今度は後藤寺線に足を踏み入れます。向かい側のホームにこれから乗る後藤寺線の列車が止まっているのですが、車番を見ると「キハ40−8103」の文字が!これは珍しい車だと私は盛んにカメラのシャッターを押します。このキハ40形8000番台という車は近年登場したキハ40系改造車の新しいバージョンなのですが、エンジンの種類が分からず疑問に思っていたのです。早速エンジンの側に行ってみると独特のカラカラという音が…。SA6D125−Hというコマツのエンジンに間違いないようです。偶然の出来事にうれしくなり、早速私はメモを取り出し様子を記録します。「これは結構珍しい車ですよ!」と言う私に影響されたのか、お二人も盛んに写真を撮影され、私ももちろんフイルムに姿を収めました。 10時22分になり発車。さすがにエンジンを交換しただけのことはあり、従来の40とは比べ物にならない加速です。ただし、この車はコイルばねのため乗り心地が悪く、今朝から空気ばね使用の車両ばかり乗り継いできた私たちにはこの点不満な所でした。 後部運転台を覗いてみると、運転台には「この車は変直自動切換」の文字が。キハ40系の変速機は変速段から直結段への切換が本来手動なのですが、この車はエンジンや変速機を交換した時一緒に自動変速にしたようでこの点興味深い点でした。 下鴨生駅付近でさいくんさんの携帯電話に前日熊本からお帰りになったしまやんさんからのお電話が。折角の機会なので発車する時のエンジン音を車内から実況中継差し上げ、コマツエンジン独特の音をしまやんさんにお聞かせします(笑) |
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列車は山間を淡々と走り、10時47分に田川後藤寺到着。今度は日田彦山線に乗り換えます。旧産炭地の駅らしく田川後藤寺駅の構内は広めですが、今では気動車が何両か待機しているだけです。平成筑豊鉄道のレールバスの姿もあり3人ともその姿を撮影します。まもなく次に乗車する11時04分発快速「日田」が到着。キハ147形の2両でここまではワンマン運転だったようです。車内に乗り込んでみると日田彦山線唯一の快速列車らしくほとんどの座席が埋まっており、私たちはドアの隣のロングシートに座りました。 |
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定刻になり発車。この車もエンジン交換をしており、加速は従来車とは比べ物になりません。が、先程乗車したキハ40と同様、コイルばねが乗り心地をスポイルしていて、この点ちょっと不快に感じました。 車内を歩いてみると、クロスシートの埋まり具合に微妙な差があることに気付きます。定員4人で埋まっている席もあれば中には1人で独占している所もあり、「これならいっそのことオールロングシートにした方が着席率が高いのではないか?」とも思えたりして、お二人と話します。この点は人によっても賛否両論ある所なのでしょうけど。 やがて、香春を過ぎると前方左手に奇怪な形をした香春岳が姿を見せてきます。山自体が石灰岩の固まりだそうで、頂上付近は無残にも削り取られて岩肌がむき出しになっています。珍しい光景なのでこれもカメラに収めることにしました。 |
| ところで、この付近から国道322号線と平行して走るのですが、道が整備されているのか車が次々に追い越していきます。こちらも必死に走るのですが、路線状態が良くないのと車両性能の限界なのか60km/h程度の速度が精一杯のようです。ローカル線の衰退に拍車をかけたのはマイカーの普及と道路の整備が大きい要因だったとよく耳にしますが、この付近は100万都市の北九州市から20km程度しか離れていない場所。JRの方も何とか手を入れて活性化につながらないものかと感じます。キハ200を入れてスピードアップすればそこそこの需要が望めると思うのだけど…。 トンネルをいくつか抜ければ北九州市小倉南区に入ります。田園風景が相変わらず続いていますが、次第に人家が増えてきました。停車駅間が長いのを利用して、後藤寺から乗り込んだ車掌さんが車内検札を行います。私たちの切符を目にすると少々顔をしかめていましたが何とか無事に終了。別に悪いことをしているわけではないのですが、少々後ろめたい気分にもなってしまいます(苦笑)。 |
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九州自動車道の下をくぐると人家はますます増え、北九州モノレールの姿も見えてきました。車内に立客が出始めた所で11時46分終点の城野に到着。気動車での旅はここまでで、これからの区間は電車での旅を楽しむことになります。 |