2005年08月08日
「安全」を支える人の思いをカタチにして欲しい
共同通信「日航の有識者会議が初会合 具体的提言へ」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050803-00000217-kyodo-bus_all
机の上で安全が作られるとは思えない。が、どんな提言が出てくるのか注目したい。
マスメディアと世論に媚び、安全対策の手仕舞い的な報告書は不要だ。
今必要なのは、安全を支える人たち―現場の声(not組合の声)、一所懸命、熱意を汲み取ることだ。
なぜなら彼らのモチベーションを下げること、それがもっとも安全に危害を及ぼす可能性が高いからだ。
2005年08月04日
Air France機オーバーラン・炎上事故に思う
大型機がオーバーラン・炎上するという重大な事故ながら、国内報道の扱いはほとんどない。
国内某航空会社の事故だったら、格好の話題だったのだろうが、外航では興味もないようだ。
ある程度の状況をつかむため、英語記事をあたってみた。
比較的分かりやすく、英語の苦手な私でも理解できるのはCNNの記事だろうか。
http://edition.cnn.com/2005/WORLD/americas/08/02/toronto.crash/index.html
http://edition.cnn.com/2005/WORLD/americas/08/02/toronto.crash.ap/index.html
http://edition.cnn.com/2005/WORLD/americas/08/03/airfrance.crash.ap/index.html
原因は良く分からない。天候条件、システムの故障のいずれか、もしくは双方が複合して起きた事故かと思われるが、今後の調査を待たねばならないだろう。CNN自体も、事故時の状況を列記しているだけだ。個人的には原因や犯人探しに奔走していないのは好感が持てる。
死者がでなかったのは、フライトクルー、そして乗客がこの最悪の事態に最高の仕事をした結果だろう。Air Franceの社長も「クルーに敬意を表したい」と答えている。私も、そのエアマンシップに敬意を表すとともに、恐怖の中で最大限の理性的行動をもって生還した乗客たちを称えたい。
もしものその時、私もそうありたいものだ。
2005年08月01日
JAL「業績不振」ANA「好調」明暗分かれる真の原因は
JALが「業績不振」だという。
4半期決算を受けての報道だが、その理由を各メディアを見ると
日刊工業新聞「大手航空2社の4―6月業績、国内線の収入で明暗」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050801-00000030-nkn-ind
時事「JALの4―6月期、320億円の営業赤字=トラブルなどで下ぶれ」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050729-00000205-jij-bus_all
毎日「JAL営業赤字拡大、ANA増益 4~6月期」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050729-00000075-mai-bus_all
朝日「トラブル続きのJAL、個人客減る 第1四半期決算」
http://www.asahi.com/business/update/0729/127.html
日経「JALの4―6月期、原油高で営業赤字320億円」
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT1D2906T%2029072005&g=S1&d=20050729
とある。
しかし、ここで疑問に思うのはいわゆる「トラブル」はJALだけでなくANAにもあるということだ。
両社が発表している運航情報を見ても、トラブルが発生しているのはJALだけではない。
JAL運航情報
http://www.jal.com/ja/operate/
ANA運航情報
http://www.ana.co.jp/flt_data/index.html
では、業績不振の理由は何なのか。両社の決算概況を見てみよう。
JAL
http://www.jal.com/ja/press/0000206/206.html
ANA
http://www.ana.co.jp/ana-info/index.html
思ったほど、JALから旅客離れがおきているとは見えない数字だ。報道をよく読むと、「想定より少なかった」というだけで、大幅な客離れが発生しているという数値上の発表はなされていないようだ。一方のANAの乗客増は、羽田第2ターミナルと、ANAが力を入れている中部国際空港の影響の方が大きいように思われる。新空港開港などによるパイの増加分、ANAが持っていったというところだろうか。
実際の今回の4半期決算の結果の要因は、日経が報道しているように両社の原油対策の差異によることが大きいと思われる。個人旅客の減少はJALも認めているが、「トラブル=旅客流出=赤字」ではない。にも関わらずことさらトラブルと赤字を対比しているマスメディアがある。非常に残念なことだ。
両社で一番明暗が分かれたのは、業績ではなく、マスメディアの視線とそれに追随する世論なのかもしれない。
2005年07月28日
Touch and Go で提訴!?
メディア報道に踊らされる「弁護士」登場・・・
「説明なくタッチ・アンド・ゴー」乗客がJALを提訴(読売新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050727-00000406-yom-soci
Touch and Goは安全のために行われる機長の正当な行為と思われる。
説明がなかったというが、それならなぜ管制塔の着陸許可がなかったということを知ったのだろう。
そもそも、今になって出すというところが、なんだか・・・
2005年07月27日
逆噴射不作動で着陸 誰の「信頼回復」が遠のいたのか
日航機トラブル 逆噴射不作動で着陸 子会社の整備ミス(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050726-00000134-mai-soci
JALの「トラブル」「ミス」には食傷気味だ。JAL自身ではなく、報道に対して。
なにせだらだらと事象をなぞった上、「信頼回復はまた遠のいた」だ。そこには事象の分析も考察も何も無い。
「安全神話」などメディアの妄想でしかないというのに。
なので、私の手でこの事象をすこし分析してみたいと思う。
まず、事象の確認だ。
JALホームページ「7月24日JL1001便 新千歳空港着陸時の逆推力装置不作動について」
http://www.jal.com/ja/other/info2005_0726.html
いつもながら、すばやく、なおかつきちんと整理されているプレスリリースに敬意を表したい。
今回の事象は航空・鉄道事故調査委員会も入らないようなので(これは一方で、この事象が事故等につながる重大でないものであることを示唆している)、ここから事象を把握していきたい。
各報道とプレスリリースから、以下のように事象のポイントをまとめてみた。
1)子会社での塗装作業の際逆推力装置にロックピンを装着。その際ピンの装着を示す目印を外から見えないようにしてしまう
2)作業終了後の点検で、ロックピンが外れていないことを見落とす
3)子会社から日航への引継ぎの際、この部分に対する点検がなされなかった
4)出発前点検でも点検されず
5)JL1001運航、着陸時に逆推力装置が不作動
6)車輪ブレーキとスポイラーにて減速、通常通り着陸
次に、この事象のカギである「逆噴射」について考察する。
30代以上の方なら、羽田沖の逆噴射事故を思い出す人が多いかもしれない。この「逆噴射」、正確には「逆推力」という。
JAL航空用語辞典「逆推力装置」
http://www.jal.co.jp/jiten/dict/p217.html#08-11
車では、リバースというと後退させるために使うギアポジションだが、航空機では速度を減じるときに使用する。減速のための装置としては、他に車輪ブレーキやスポイラーがあり、逆推力はあくまで補助的なものである。最終的に航空機を止めるのは車輪ブレーキである。
この、逆推力装置が作動しないことによる不具合にはどのようなものがあるのか。
減速補助の仕組みである逆推力装置が必要となる場面は2つ想定される。
1.着陸時の減速
2.離陸中断時の減速
1.の着陸時の減速で、逆噴射が作動しないことで問題、特にメディアが心配するオーバーランが発生するのか。
着陸時に必要な距離は、このように定められている。
JAL航空用語辞典「着陸距離」
http://www.jal.co.jp/jiten/dict/p291.html#03
ここを見ると分かるように、着陸距離の算定には逆推力装置の使用を考慮していない。あくまで逆推力は余裕として見られているだけである。
さらに、着陸に必要な滑走路の長さは「必要着陸滑走路長」として着陸距離からさらなる余裕が設けられている。
これらのことから考えると、逆推力が作動しなかったこと自体による事故の可能性はないと考えてよい。
ただし、何らかの事情で接地点(着陸地点)が延び、残り滑走路長が着陸距離を切る状態になった場合、本来行うべき着陸復行(Go Around)を行わず、パイロットが逆推力を頼りに着陸を継続すると、オーバーランの可能性が出てくる。
接地点が延びたにもかかわらずパイロットの判断の誤りでオーバーランした例(国土交通省航空・鉄道事故調査委員会/PDFファイル)
http://araic.assistmicro.co.jp/araic/aircraft/download/pdf/02-9-JA8727.pdf
(注:この事例には逆推力の問題はない)
しかし、これはパイロットが規定を甘く見たことが問題だ。パイロットが規定と手順を守る限りは、逆推力が不作動であったとしても安全な着陸が可能だということに変わりはないだろう。
次に、2.の場合だ。これが行われるような状況は、エンジントラブルの発生など、1.の場合よりも切羽詰った状況であるといえるだろう。
JAL航空用語辞典「必要離陸滑走路長」
http://www.jal.co.jp/jiten/dict/p277.html#03
しかし、そのような緊急事態が想定される場合でも、必要な停止距離(加速停止距離)には逆推力は含まれていない。別の言い方をすると、「停止に逆推力が必要になるような距離まで滑走したら、基本的にどのようなことがあっても離陸する」ということだ。
このことから、離陸時においても逆推力の不作動が問題となることはないといえる。
よって、「通常の手順が守られている限り、逆推力装置の不作動自体が安全に与えるリスクは軽微である」といえるだろう。
では、これらを踏まえて、今回の事象について改めて検証してみよう。
1)ピンの装着を示す目印を外から見えないようにしてしまう
→今回の事象を誘発した一番の原因である。
リスクを増大させる要因であり、要改善。
目印を作業の支障にならないものに変更するか、そもそも目印をなくしてしまったほうがよいだろう。
そのほうが2)の段階でのミスを防げる。
2)ロックピンが外れていないことを見落とす
→目印がついているという前提で点検をするので当然見落とすであろう。
JALでは、今回の事象を踏まえ、この部分を「現認(目印ではなく現物を確認)」することとした。
3)4)点検されず
→点検手順の中にこの部分が入っていたのか不明。
手順に入っていたのならミスだが、入っていなかったのであれば問題なし。
点検は優先順位がある。より重大な部位を集中的に点検すべきであり、逆推力装置の作動確認が優先されるべきかを考えると、前段の検証から「事故に直結する事柄でない」と考えられるので、点検項目がなかったとしても不手際だとはいえないだろう。
5)6)着陸時逆推力が作動しなかったが、通常通り着陸
→問題なし。
前段での分析の通り。逆推力が作動しなかったことで、通常の運航が行えなくなるような事態にはならなかった。
毎日には「路面が乾燥していたこともあり、滑走路を飛び出さなかった」とあるが、これは同記事の後段にもあるとおりプアな路面でも問題なく着陸できる可能性が高く、誤解を招く記述だ。
上記のことから、私はこの事象を、「点検時のミスにより航空機が完全な機能を有さないまま飛行をしたが、飛行に重大な影響を及ぼすものではなく、今後の改善を行うのみで十分」な事象だと考える。メディア報道の言うような、「あわや事故」とは程遠かったとおもわれる。
航空機はたくさんの人間が介在することで成立しているシステムである。人間が介在する以上、ミスは当然あるもので、一つのミスが重大な結果を招かないよう、多重のチェック体制や、チェックの重みづけがなされている。もちろん、ミスは少ないに越したことはないし、早く見つけるに越したことはないが、どんなに対策を施したとして、それでも発生するのがミスである。今回の事象は、まさにそんな「くぐりぬけたミス」であろう。
くぐりぬけたミスが重大な結果の引き金になりうることは否定はしない。しかし、私たちが大切なことは、ミスやトラブルの件数の多寡を問うことではなく、そのミスやトラブルに対して、航空会社が常にオープンであり、真摯に向き合い、対策が出来るかどうかを知ることだ。ミスやトラブルの多寡がその航空会社の品質を決めるのであれば、微小なミスは隠してしまえばよい。そのような会社がどのような結果を招くのかは自明である。
私はむしろ、メディアの「一つのミスも許さない」姿勢に危惧を覚える。事象の重みづけさえ出来ないのに、なぜ批判だけを一方的に行うのか。ミスの数をあげつらうかのような報道は、かえってミスを隠蔽する要因になりかねないことに気づかないのか。
事象の本質、航空というシステムの特性を考えないままの報道は、世論の不安を無用に煽り、航空マンの自尊心を傷つけ、ミスをオープンにすることで安全を担保するシステムに対する挑戦であると考える。
2005年07月26日
アスベスト問題報道と報道による二次被害の不安
アスベストによる健康被害の問題がここに来て大きくクローズアップされてきた。アスベスト自体はずいぶん昔から有害だということが知られていたわけだが、アスベストの粉塵を吸引したことが原因と思われる中皮腫による死者が出たことで、マスコミは一斉に騒ぎ出した、というところだろう。
昨今の傾向としてこの手の報道は熱病的である。
アサヒ・コムではアスベスト問題特集
http://www.asahi.com/special/asbestos/
が組まれているが、アスベストがどういう物質でどのような毒性があり、どんな状態が危険でどのように対処すればよいのか、それが一切記されていない。
本来、私たちに必要な情報はそこであり、行政の不作為だとかどこの建物にアスベストがあるだとか、そのような情報との優先順位が違ってはいないだろうか。
アスベスト問題には、中皮腫の問題以外にも隠れた問題があると考える。報道が不安を煽ることによるもうひとつの影響だ。
Googleで「浄水器 アスベスト」を検索
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&q=%E6%B5%84%E6%B0%B4%E5%99%A8%E3%80%80%E3%82%A2%E3%82%B9%E3%83%99%E3%82%B9%E3%83%88&lr=
水道管に使用されていたアスベストが問題だ、ということで、浄水器メーカーなどがさかんにアスベスト除去を謳っている。しかし、同検索の中でも見つかるように、アスベストが問題になるのは、粉塵の状態で多量に吸引することであり、水中に含まれるアスベストは私たちになんら影響を及ぼさない(異物として排出される)。
浄水器がすべて悪い、とは言えないが、浄水器は消費者トラブルの多い商品の一つである。
国民生活センターより(PDFファイル)
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20031125_3.pdf
今回のような、健康に影響のある事柄に関しては、マスメディアからの報道に対して人は妄信的になる傾向がある。だからこそ、適切で明快な情報提供、例えば、「注意」と「安心」の線引きなどは有用な情報なのだが、今の報道にはそれが見当たらない。
マスコミの過剰な「宣伝」が、一部の悪徳業者に利用され、トラブルを助長することになりかねないか、非常に心配だ。
なお、アスベスト問題に関しては、国連大学副学長、安井至氏が自身のサイトで解説をされており、私たちがこの問題を理解するにあたっての助けとなるので参考にしていただきたい。
市民のための環境学ガイド
http://www.yasuienv.net/
クボタのアスベスト被害
http://www.yasuienv.net/AsbestosKubota.htm
アスベスト再考
http://www.yasuienv.net/Asbestos2-2005.htm
2005年07月25日
NHK番組改変問題/朝日新聞報道問題
http://www.asahi.com/national/update/0725/TKY200507240365.html
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050725-00000203-kyodo-ent
まだNHK側のコメントはWebには公式に掲載されていないので、ニュース報道から把握しているのみだが、私が見る限り、朝日新聞の大チョンボというふうに伺える。
しばらくは水掛け論が続くだろうが、この時点ではっきりしたのは、
「マスメディアは、時として特定の人物、団体の意向を受けて報道する可能性がある」
ということ、そして
「マスメディアは、時として不確実な情報からさも確実な情報を得たかのような報道をする可能性がある」
ということだ。
そのような報道というものに対して私たちがどのように接すればよいのか。答えは明快だ。
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