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2007年2月21日

パイロット・イン・コマンド

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内田幹樹氏の小説「パイロット・イン・コマンド」(新潮文庫・580円)を読破。

ロンドン発成田行きのニッポンインターナショナルエア202便。犯罪容疑者の移送、トラブルパッセンジャーの搭乗、ゴミ箱に投棄された救命胴衣とそこから生まれる疑惑。様々な課題を抱えながら飛行するボーイング747-400型機に非常事態が発生。混乱の中PIC(パイロット・イン・コマンド=運航責任者)となった副操縦士・江波に乗客乗員の生命が預けられ、乗員、乗客は否応なくそれぞれの闘いに巻き込まれていく-。

氏の処女作であるこの作品、以前にも「査察機長」でも感じたのだが、エアラインパイロットであったことによるしっかりとしたリアリティの基盤の上に展開される物語が気持ちいい本である。
さらにテキストの様々なところにちりばめられる航空業界、そして社会への鋭い洞察と提唱は、単なるエンターテインメント小説として読み流せない説得力がある。

・・・ほとんどの乗客はこの非常口を示すライトのことも、ライフベストのつけ方も、酸素マスクの使い方も、非常口の開け方や脱出方法さえも知らないだろう。座席上のポケットに入っているパンフレットに、すべて記載されているというのに、目を通す人は統計上たったの5パーセントだという。・・・事故がおきた時、読んでいた人の負傷率は16パーセント、読まなかった人のそれは55パーセントまで跳ね上がるというのに。・・・

航空パニックものともいえる作品だが、この本を読むと飛行機への信頼がさらに増し、乗るのが楽しみになるから不思議なものだ。
というわけで、今日明日は機上の人に。

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内田幹樹氏は昨年12月に66歳の若さで亡くなられた。もっともっと、私たちに空の素晴らしさを教えて頂きたかっただけに残念である。
天国でも、良いフライトを。


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